裸足になりたいよ

わたしは気に入ると同じものばかり使ってしまう癖がある。

今履いてる靴もそう。人より歩いているという自負があるのに、同じ靴しか履かないから、すぐダメになる。だからこの前全く同じ靴を買い直した。

ねえ、最近暑いね。わたしは冬が一番好きで、2番目は秋、3番目は冬の終わりと春の間。この季節が好きで、既に5回お花見をした。なのにさ、なのにさ、なんなんだこの気温は!もう、夏じゃん。正確には夏よりの春。悲しさとか、寂しさとか、不安なんて1ミリもなくて、ただただ楽しくて元気になってしまう季節。

なんの情緒もねえ〜〜〜〜〜!!!!!!!!

わたしなんて普通に過ごしてたら元気で元気で仕方なくて、落ち着いたエモーショナルな季節を過ごすことでやっと自分と季節のテンションの割合が丁度良くなるのに、こんなの、楽しさが度を超えてしまうよ。「楽しい」は、ちょっと物足りないぐらいがちょうどいい。「楽しい」はエネルギーを消費する。無駄に疲れたくないんだ。

暑くなってきてまた散歩熱が高まった結果、歩きすぎて靴が蒸れて最悪になったので、ある日帰っている途中、靴を脱いで裸足になりたくなった。

靴を洗いたい衝動に駆られて、気づいたら全然自分に関係ない街のコインランドリーにいた。スニーカー専用の洗濯機の前に立って、財布から小銭を出そうとしたら、「そしがや21」と書かれた券がひらりと床に落ちた。

好きだった銭湯だ。そこは3種類のサウナがあって、サウナ好きの間では有名な場所だった。外に裸で泳げるプールがあって、わたしはそれが目的だった。

みんな1人で周りも気に留めず、悠々と泳いでいる。それがすごく良くて、わたしも真似して泳いでいた。

靴を洗っている間、編み物をしながら友達のラジオを聴いていた。イベントの主催をしている友達が出ている回。聴いていたら、話の中にわたしが登場していて驚いた!

自分の知らないところで友達がわたしを「友達」として話しているのを聞くと、とても嬉しい。

洗濯完了の音がぷよぷよの連鎖した時の音と一緒で、裸足のままぺたぺた歩いてガラス越しに写った自分を見てウケた。知らない街のコインランドリーで裸足でラジオを聴きながら編み物をしている状況、生まれて初めてだ。

乾燥が終わった靴を履くとほかほかで、プール終わりに靴下を履いた感覚を思い出した。

嬉しくて3キロ歩いた。