小田原行きの急行に乗ってたよ

歩いていたら知らないおばあちゃんに「この銀杏の木はオスだよ 実はメス 冷凍しておくと身が膨張して殻が剥きやすくなるよ」と教えてもらった 赤ちゃんと目が合ったのでにっこりした 家に帰れなくなったので朝までどうにかすることにした

仕事で担当したお客さんの顔が、というより雰囲気やメイクが、「ゴーストランドの惨劇」という自分史上最悪のホラー映画に出てくる登場人物とあまりにも似ていたので動悸が止まらなかった コントラストが激しい顔が 苦手

話を聞かないおばあちゃん vs 話を聞かないゴーストランドを間近で見てニコニコしながら、いい戦いだなと思った わたしは「焦ってても顔に出ないよね」とか「人の悪口言ってるところ見たことない」とか、「怒ってるところが想像できない」とよく言われるが、話を聞かない一方的な人や少々頭がおかしい人をエンタメとして見ている 一番タチが悪い奴だと、自分では思っている

訳あって家に帰れなくなったので、あーんどうしようかな、と考えながら日記をストーリーに上げたら、最高の友達ことMちゃんから「朝まで麻雀しない?」と連絡が来たが、麻雀のルールを知らないので後日になった

電車に乗っていたら明日会う予定だったAちゃんから連絡が来たけど、「今すぐ会いたくなっちゃった」と連絡したら来てくれることになった そのタイミングで高校の友達のTから連絡が来て、友達が来るまで新宿のビルの地下階段に座って近況を喋っていた Tは最近地元に帰って就職した唯一の上京仲間 わたしの名前を呼び捨てしてくれる数少ない友達 わたしは名前が可愛すぎるから、ちゃん付けするとキャラクターみたいになるのがコンプレックスで、みんなに呼び捨てしてほしいなと密かに思っている 近況を喋ったら、「ここ最近で一番笑った ありがとう」と言ってくれて嬉しかった 「こちらこそ、笑ってくれたならよかった」と言った これは口癖かもしれない 最近よく言っている 

Aちゃんと合流し、ご飯を食べに行った Aちゃんと行くお店はなぜか必ずと言っていいほど燻製ポテトサラダが置いてある 「高すぎる椅子を「ほんとか?」と思っているんだよね」と話したら共感してくれて嬉しかった それからしばらく「ほんとか?」と思う名前の食べ物について話した 「フルーツと付き合うならどれ?」という話になってAちゃんは真っ先に「桃!」と言った 理由を聞くと「柔らかくて、ふわふわで、甘いから」と教えてくれた 「改めて口に出すと気持ち悪いね」と言われ吹いてしまった ただ桃の特徴を言っているだけなのに... わたしはりんごと付き合いたいと言い、理由を述べたら「あ〜まあ実際その方が長続きしそうだよね」と言われ、めちゃくちゃ笑った 設定への想像力が高くて助かる

お店を出てこの後どうする?となり、「わたし今日家に帰れないから朝まで暇なんだよね」と言ったら「えぇ?じゃあ朝まで遊ぶしかないじゃん!!」と満面の笑みで言ってくれた 嬉しくてジャンプしたら「マリオの喜び方じゃん」と言われた ど平日にオールしてくれる友達がいるって幸せだなあ

お酒が回ってすっかりいい気分になったわたし達は目についた看板のフォントをそのニュアンスで声に出すという遊びをした 今まで何人かとやったが、Aちゃんはダントツに上手かった 声の出し方、抑揚、表情が完璧で、めちゃくちゃ悔しかった

歩いていたらゴールデン街に着いた 「いい名前のお店に入ってみよう」ということになったが、いい名前が多すぎて歩いてるだけで満足してしまい、結局どこにも入らなかった

「そういえばわたし達ってもう出会って5年になるのに一度も一緒にカラオケ行ったことがないよね」と言ったらカラオケに行くことになった わたしが歌っている最中Aちゃんはむせていたので心配したら「ポップコーンに胡椒をかけすぎた」と言っていて、笑った なんとなく予想していたけどわたし達は音楽の趣味が全く合わないので、歌う曲が一つも被らなくて得した気分だった Aちゃんはアイドルの曲を歌いながらキレキレのダンスを披露してくれたが、後半は息が切れていて、アイドルってすごいんだなあと思った

荒井由美小沢健二、柴田聡子を歌った後、RADWIMPS狭心症と億万笑者を歌っていたら、歌声が曲に合ってると言われたので、それにまつわる高校時代の話をしたりした 

わたしは気づくと眠っていて、起きたらAちゃんが歌っていた 「ねえ見て 〇〇ちゃんが寝てる間、同じ曲を1時間歌ってたら75点から95点になったよ」と言われ、「ストイックだね」と言ったけど、そういえばわたしは1人でフリータイムで7時間ぶっ通しで歌う人間だったと思い出した

時間になってカラオケを出たら雨が降っていた 始発まですき家でご飯を食べた 前もこのすき家で始発を待ってたなと思いながら食べた お店を出て「雨宿りしながら移動しようよ」と提案し、軒先と軒先を走って移動した その間ずっと笑っていた

「友達ってずっと友達で居れるからいいよね みんなとずっと友達で居たい」と言ったら静かに頷いてくれた その意味を理解してくれて安心した

湿ったアスファルトに街灯の光が反射する 寒くて喉が少し痛い 新宿で夜を明かした時、いつも旅行みたいだなと思う 夜行バスが目的地に到着して早朝の駅でやることなくて時間潰す感じ 喉が渇いていて、体の節々が痛む そして記憶の中の空はいつも曇っている

夜明けの新宿で交差点を走るのは何度も経験したはずなのに、いつも新鮮な気持ちで「走馬灯に流れてくるんだろうな」と思うぐらい美しい

JRの改札前で解散した