ここ2週間ずっと職場の先輩に理不尽に当たり散らされてて、理不尽すぎて怒り通り越して諦め状態に陥ってたけどそういやこの人わたしと生理周期被ってるんだったって思い出した 怒ってる人に「生理ですか?」とか煽ってるようにしか見えないし、口が裂けても言えなかったけど 生理中の女は本当に別人のように恐ろしい生き物だから 別人だと思いながら耐えていた 

1週間生理が遅れた私が出勤したら先輩が別人みたいに機嫌治ってて、やっぱり予想は当たってたと思った 先輩は手作りのカップケーキをくれた なんだか拍子抜けして、わたしは先輩に桃のグミをあげた わたしはいつも何かミスやトラブルが起こったらまず自分を疑う まず他人を疑うような人はよっぽど自分に自信があるのか、傲慢なのか、強いのか、一周回って羨ましい

負の感情が湧いた時、まず初めに別のことを考える それは風景とか人とか食べ物とか音楽とかなんでもいい 静かであればあるほどいい 最近はもっぱら毛糸のことで頭がいっぱい

脳内に毛糸をイメージするとただの毛糸の塊が作りたいものに変形する

昼間自転車で商店街を走っていたら 一気に鳩が飛び立った 言葉にするとイメージが固定されてしまうから、形にはせず、脳内の隅っこにおいておく ふわふわとした実体のない色だけがついたもの パン生地のようなものに近い

そして一日中脳内で発酵させた生地を 成型する 脳内から張り巡らされた神経は指先に合図が伝わる iPhoneのメモ帳を開いて指で大まかな設計図を描く ラフのようなもの 雑であればあるほどいい そして、メモ帳に描かれたラフと脳内の生地を合わせて 左手の 人差し指 小指 親指 それぞれに毛糸を引っ掛けて編み進める

鳩のことを考える 嫌いな鳩 朝、小川の橋を渡る時みっしりと鳩が止まっている風景を想像する 緊張感が走る 息を止めてそろりと歩く 歩く、というより足をそっと置いている そうしていつの間にか、できていた 手元には嫌いな鳩の帽子