チケットは余るはずがない

人生で初めて人に声を録音され、自動音声に登録された。普段はもそもそ喋っているわたしが実は滑舌が良くて、声が通ることを見抜いた先輩が発端だ。明日から夏休みが始まる。仕事中、暇すぎて隙を見て携帯をいじっていたら、会ったことない漫画家の人から「チケットが余ったので映画を見に行きませんか?」とDMが来ていることに気づいた。わたしは行きたいライブや映画があると迷わずに1人分を予約する人生を送ってきたので、チケットが余るという発想がなく、「チケットが余ったので映画を見に行きませんか?」という誘い方は都市伝説だと思っていた。生まれて初めてこの誘い方をされたので、「おっ!これが例の!」と心の中で静かに盛り上がった。もちろん1人で。前に浅草で飲んでいた時にたまたま仲良くなった見ず知らずの若者たちの中の1人と夜にドライブをする約束があるが、それまでは暇だったので承諾した。仕事に戻ると、常にドライマンゴーを持ち歩いてることで定評のあるわたしに先輩が「アイスの実のドライマンゴー味がおいしい」と教えてくれたが、前にオレンジ味と勘違いしてマンゴー味を買って食べてしまったわたしにとっては、「オレンジ味ではないアイス」という認識でしかなくて、味の記憶はほぼ消滅している。それにわたしはドライマンゴーが好きなだけであってマンゴー味が好きな訳ではない。しかしこれを口に出したとしても、どうでもいいことにこだわる面倒臭い奴だと思われそうだなと思ったので飲み込んで「あー、美味しいですよね!」と言った。アイスの実はカフェオレ味が1番美味しいと思う。

 

f:id:a_______oeoeo:20230811192118j:image

駅で迷ってる鳩